|
ナショナル セミコンダクターは、製品開発から製造にいたるまでのあらゆる段階で、クオリティに重点を置いた体系的な手法により、全製品においてクラス最高のクオリティと信頼性の実現を目指しています。ファブリケーションと組立て工程に対する厳重なSPC管理、材料の検査、ウェハ・レベル信頼性(WLR)、新製品の認定、最終製品の信頼性管理、厳重な変更管理を通して、初期設計コンセプトからファブリケーション、試験、組立てまでのクオリティを維持します。
信頼性について
信頼性とは、部品が特定の期間、規定の使用条件下で目的どおりに機能する確率によって表された特性です。
信頼性と故障率
基本的な故障には、初期故障と磨耗故障の2種類があります。これらの故障は、バスタブ曲線と呼ばれる曲線で示されます。

ナショナル セミコンダクターでは、全製品の初期故障率(PPM単位)および磨耗故障率(FIT単位)が目標上限値を下回っていることを確認するため、信頼性試験を実施しています。
認定
新しいプロセスと新しいパッケージの認定には、次に示す試験を最小3ロット(1ロット当たり77ユニット)で実施します。
-
初期故障試験(サンプル数915)
-
動作寿命(OPL)試験
-
高温高湿バイアス試験
-
温度サイクル
-
オートクレーブ
-
ESD/ラッチアップ
-
基板レベル温度サイクル(パッケージ)
必要に応じて、パワー・サイクルおよびデータ保持試験も実施します。
スマート・クオール
プロセスおよびパッケージ設計規則に基づいて設計され、認定プロセスとパッケージを使用した製品は、168時間の信頼性データを使用してリリースされます。
この手法では、信頼性を損なわずに開発期間の要件に対応できます。
顧客へのリスク波及を防止するため、ナショナルでは継続的な信頼性管理を実施しています。
信頼性モニタ・プログラム
信頼性に関する認定規格に基づいた認定プロセスに従って製造される製品のばらつきを防止するため、継続的な信頼性モニタを実施しています。
ナショナルのクオリティ・ウェブ・ページに、信頼性モニタ・プログラムの実施成果が掲載されています。試験実施頻度を次に示します。
|
試験 |
頻度 |
|
EFR
(すべての主要プロセス) |
毎週 |
|
OPL(1000時間)
THBT(1000時間)
ACLV(96時間)
TMCL(1000サイクル) |
8週ごと
8週ごと
8週ごと
8週ごと |
信頼性試験設備
信頼性認定試験をサポートするため、信頼性試験サービス、ESDおよびラッチアップ試験室は試験設備を完備しています。試験室設備の詳細を次の2つの表に示します。
信頼性試験サービスの設備一覧
|
ダイナミック動作寿命試験(Op Life)
ADECバーンイン・オーブンx 13 Wakefield x 3 AMT x 1 |
65 - 160℃
65 - 160℃
65 - 160℃
|
注記:
ベクター駆動
ドライバ・ボード駆動
ドライバ・ボード駆動 |
|
スタティック動作寿命試験
Jarvisオーブンx 4 Marin x 9 |
65 - 160℃ 65 - 160℃
|
|
|
高温高湿(T&H)
BLUM Mオーブン x 12 |
85℃、湿度85%(標準) |
試験可能な範囲: 20 - 90℃、湿度30 - 90% |
|
温度サイクル
Blue Mシステム x 2
Ranscoシステム(バッチ・ロード) x 4 |
-40 - 125℃
-65 - 150℃ -40 - 60℃ 0 - 125℃
|
200ポンド/システム 1 - 200ポンド、2 - 40ポンド 1 - 151ポンド |
|
オートクレーブ(ACLV)
Dispatchシステム(バッチ・ロード) x 5 |
121℃、15PSI
|
|
|
高加速ストレス試験 (HAST) Hirayama x 2 Express x 1 Dispatch x 1 |
135℃、85% RH/PSI 135℃、85% RH/PSI 135℃、85% RH/PSI
|
基板負荷電圧適用
|
|
電源温度サイクル
Thermo Dynamicシステム x 1
ICA1システム x 3 |
40 - 125℃(周囲温度) 40 - 125℃(周囲温度)
|
基板負荷電圧適用 基板負荷電圧適用
|
|
エア・パワー・サイクル
Approvalシステム x 2 |
25 - 150℃(周囲温度)
|
基板負荷電圧適用
|
|
水力サイクル
- Approvalシステム x 1 |
25 - 150℃(周囲温度)
|
基板負荷電圧適用
|
|
熱衝撃(液槽)
- Approvalシステム x 1 |
|
|
|
エレクトロマイグレーション
- マイクロ計器 x 1 |
210℃、175℃、150℃
|
フォーシング電流
|
|
高加速寿命試験 (HALT)
- Qualmarkシステム x 1 |
3軸振動、温度、65 - 150℃
|
BSBO - Ethernetカード Plexis/Tigris
|
ESD/ラッチアップ試験室の設備
| |
最大ピン数 |
HBM電圧 |
MM 電圧 |
IEC 1000
対応 |
オンボード・
クロック |
ベクター・
ラッチアップ |
Keytek
Zap Master |
256 |
25 - 12000 |
25 - 2000 |
対応 |
非対応 |
非対応 |
|
RCDM |
なし |
50 - 4000 |
なし |
非対応 |
非対応 |
非対応 |
|
MK-2 |
768 |
50 - 8000 |
50 - 2000 |
非対応 |
対応 |
対応 |
故障メカニズム/故障モデル
信頼性試験では、さまざまな故障メカニズムをテストします。主な故障メカニズムを次に示します。
故障メカニズム/故障モデル
| 故障メカニズム |
故障モデル |
| エレクトロマイグレーション |
Blacks Model |
| 過剰な合金 |
Kidsons Model |
| 逆バイアス・ブレークダウン |
Tasca |
| ストレスによる拡散ボイド生成 |
Okabayashi Model n NE 1、Okabayashi Model n EQ 1 |
| 時間による誘電体ブレークダウン |
Fowler Nordhiem Tunnel Model |
| スロー・トラッピング |
Positive Gate Voltage Model、Negative Gate Voltage Model |
| 金属腐食 |
Plastic Metal Corrosion、Hermetic Metal Corrocion |
| ダイ破断 |
Westergaard Bolger Model Die、Suhirs Vert Crack Model Die、Suhirs Horz Crack Model Die、Westergaard Model Power、Suhirs Horz Crack Power |
| モジュラー・ケースの疲労 |
Shear Fatigue Model Case |
| サブストレートの破断 |
Westergaard Bolger Model Sub、Suhirs Vert Crack Model Sub、Suhirs Horz Crack Crack Model Sub |
| ダイ接合部の疲労 |
Attach Fracture Model Brittle、Attach Fatigue Model Brittle、Tensile Fatigue Model Ductile、Shear Fatigue Model ductile、Raja Die Attach Fatigue |
| BGAハンダの疲労 |
Time to fail by Creep、Coffin Manson BGA Solder Fat |
| ディスクリート・ハンダの疲労 |
Dis Solder Jnt Cap 90pb10sn、Dis Soldr Jnt Fat Cap 63sn37pb |
| フリップ・チップのハンダの疲労 |
Inner Flip Chip Revised、Hybrid Flip Chip Revised |
| リード封印部の破断 |
Principal Stress Model |
| リード・ハンダ接合部の疲労 |
Thermal Cycle Fatigue Model |
| リッド封印部の破断 |
Tensile Strength Model |
| サブストレート接合部の疲労 |
Substrate Attach Fracture Model、Substrate Attach Fatigue Model |
| ワイヤ・ボンドの疲労 |
Hu Pecht Dasgupta Model、Wirebond Pad Shear Failure、Bond Pad Fatigue Revised |
| ワイヤの疲労 |
Hu Pecht Dasgupta Model |
| 静電気放電 |
Wunsch and Bell Model |
故障率の算出(推定値)
実際の試験結果を使用して、故障率を算出することができます。実際の試験データから実証される故障率は、次のように算出します。
故障率=不合格の数/サンプル数x時間
例1:サンプル数が13500、検出された故障が2件、試験時間が500時間の場合、故障率は次のように算出します。
FR =故障2件/13500デバイスx 500時間 FR = 2/6750000デバイス時間= 0.000000296不合格(デバイス時間当たり) 296 FITS(0.000000296の逆数) または3375,000時間MTBF
故障率を算出する際に、次の等価値を使用すると便利です。
|
デバイス時間当たりの故障数 |
故障率 |
%(1000時間当たり) |
PPM(時間) |
FITS |
MTBF(時間) |
|
1/1 x 109 |
0.000000001 |
0.0001 |
0.001 |
1 |
1 x 109 |
|
1/1 x 108 |
0.00000001 |
0.001 |
0.01 |
10 |
1 x 108 |
|
1/1 x 107 |
0.0000001 |
0.01 |
0.1 |
100 |
1 x 107 |
|
1/1 x 106 |
0.000001 |
0.1 |
1 |
1000 |
1 x 106 |
|
1/100,000 |
0.00001 |
1.0 |
10 |
10,000 |
1 x 105 |
|
1/10,000 |
0.0001 |
10.0 |
100 |
100,000 |
1 x 104 |
|
1/1,000 |
0.001 |
100 |
1000 |
1,000,000 |
1 x 103 |
故障率の算出(統計的推定)
故障率とMTBFを算出するもう1つの方法として、自由度2(r + 1)のχ2乗統計量を使用した算出方法があります。50%の確率統計量では、最良推定値が算出されます。60%または90%の確率統計量では、上側信頼限界が算出されます。
加速係数
半導体製造業者の間では、実際の使用条件下で期待される故障率に基づいて加速試験の結果を算出する方法として、アレニウス・モデルが広く利用されています。
アレニウス・モデルでは、性能パラメータの劣化は時間に基づく線形であり、減少率は温度ストレスに依存していることを前提としています。つまり、アレニウスの等式では、プロセスが実施される状況の温度と、プロセス変更の時間率とが関連付けられます。
必要に応じて、次の表に示す加速係数を使用できます。
一般的な接合部温度と 一般的な活性化エネルギーの加速係数
|
推定RJ 加速試験 |
推定TJ9 標準の使用条件 |
活性化エネルギー |
| |
25℃ |
35℃ |
40℃ |
45℃ |
50℃ |
55℃ |
60℃ |
70℃ |
85℃ |
eV |
|
125℃ |
49 |
31 |
23 |
18
|
15 |
12 |
9.6 |
6.4 |
3.7 |
|
|
130℃ |
58 |
35 |
27.5 |
22 |
17.4 |
14 |
11.3 |
7.5 |
4.3 |
0.4 |
|
150℃ |
89 |
60 |
47 |
37.4 |
29.8 |
24 |
19.4 |
12.9 |
7.3 |
|
|
125℃ |
134 |
71 |
52.7 |
39.4 |
29.7 |
22.6 |
17.3 |
10.4 |
5.1 |
|
|
130℃ |
160 |
85 |
63.1 |
47 |
35.5 |
27.1 |
20.7 |
12.4 |
6.1 |
0.5 |
|
150℃ |
317 |
169 |
124 |
92.6 |
69.9 |
53.4 |
40.8 |
24.5 |
12 |
|
|
125℃ |
942 |
388 |
255 |
171 |
114 |
77.6 |
54 |
26 |
9.7 |
|
|
130℃ |
1,218 |
500 |
330 |
219 |
148 |
101 |
69 |
34 |
12.6 |
0.7 |
|
150℃ |
3,159 |
1,300 |
855 |
569 |
383 |
259.1 |
180 |
88 |
32.7 |
|
|
125℃ |
2,540 |
914 |
567 |
358 |
226 |
145 |
95.6 |
43.4 |
13.6 |
|
|
130℃ |
3,377 |
1,221 |
754 |
476 |
300 |
193 |
127 |
57.7 |
18.1 |
0.8 |
|
150℃ |
10,041 |
3,632 |
2,240 |
1,414 |
893 |
575 |
378 |
171 |
53.8 |
|
|
125℃ |
6,691 |
2,140 |
1,250 |
735 |
449 |
272 |
168 |
67 |
18.8 |
|
|
130℃ |
9,174 |
2,964 |
1,710 |
1,006 |
616 |
370 |
229 |
92.2 |
26 |
0.9 |
|
150℃ |
31,256 |
10,100 |
5,825 |
3,429 |
2,101 |
1,261 |
781 |
314 |
88.2 |
| 該当する接合部温度の計算
高温バイアス試験から得られた故障率とMTBFは、試験時の周囲温度と接合部温度が同じであることを条件とします。高温バイアス試験で使用される温度は通常、TA=125℃またはTA=1500Cです。ほとんどの場合、この周囲温度は接合部温度TJに非常に近い値です。ただし、TAとTJが大幅に異なる場合には、TJについて考慮する必要があります。この状況は、リニア・デバイスやMOSデバイスなどのような電力を大量に消費する部品で発生することがあります。

信頼度係数
高温バイアス試験から得られた故障率は、製品またはプロセスで期待される一般的な故障率の平均(推定値)です。ただし、この故障率については、統計的な境界値が確立されていません。
ナショナル セミコンダクターでは通常、次の公式に基づき、χ2乗統計量を使用して算出した推定故障率の60%上限信頼限界を公表しています。

χ2乗値は、多くの統計表に記載されています。一般的なχ2乗値の一部を次に示します。
χ2乗分布の百分位数 (特定の確率に対応するχ2乗値)
|
一般的な用途 |
AQL |
最良推定値 |
60%信頼度 |
LTPDまたは90%信頼度 |
|
確率(%) |
5.0 |
50.0 |
60.0 |
90.0 |
|

|
0.05 |
0.50 |
0.60 |
0.90 |
|
df |
故障数合計 |
|
|
|
|
|
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
26
32
42 |
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
12
15
20 |
0.103
0.711
1.640
2.730
3.940
5.230
6.570
7.960
9.390
10.900
12.800
15.400
20.100
28.200 |
1.390
3.360
5.350
7.340
9.340
11.300
13.300
15.300
17.300
19.300
21.300
25.300
31.300
41.300 |
1.830
4.040
6.210
8.350
10.500
12.600
14.700
16.800
18.900
21.000
23.000
27.200
33.400
43.700 |
4.61
7.78
10.60
13.40
16.00
18.50
21.10
23.50
26.00
28.40
30.80
35.60
42.60
54.10 | |